「指定校推薦」という制度を知っていますか?
在学中の高校の校長先生の推薦を受け、「まず落とされることはない」と言われる指定校推薦ですが、ほぼ確実に面接が行われます。
「落とされることはない」と言われても、どうしても不安になるものです。
こちらのページでは、
「指定校推薦の面接では、どんなことを聞かれるのか」
「どんな回答をしたら良いのか」
などについて、教師歴20年以上の現役教師が生徒たちから聞いた質問について説明していきます。
下で解説する例は、すべて指定校推薦の面接で実際に聞かれた質問です。(2015年~2017年)
指定校推薦の面接とは?
指定校推薦の面接の目的は「常識的に振る舞える生徒であるかどうか」を判断することでしょう。
ごく普通にやり取りができていれば、面接を理由に落とされることはありません。
ほとんどの高校が、面接の練習をしてくれると思います。
その際にドアの開け閉め、椅子に座るタイミング、挨拶の仕方などの基本事項を教えてくれます。
それをきちんと守れれば大丈夫です。
受験生のみなさんが最も不安なのは「どんな質問をされるのか、どう答えたらいいか」という点かと思いますので、そこに焦点を当てて下の項でじっくり解説していきます。
指定校推薦の面接の質問一覧
1 大学の志望理由
「どうしてこの大学を志望したのですか?」という質問はほぼ確実に聞かれます。
大学によっては事前に「志望理由書」を提出させますので、あなたが志望理由書に書いた内容に関連した質問をされることも多いです。
具体例
「志望理由書にバイオテクノロジーについて学びたいと書いてありますが、具体的にどんなことを学びたいですか?」
回答例
「はい、私は新しい品種を作り出すことに興味があるので、遺伝子改良などを学びたいと思っています。こちらの大学では〇〇の研究をなさっていると知ったので、志望しました。」
上記のように志望理由書の内容に突っ込まれても返答ができるように準備しておきましょう。
その際、その大学で学べることを述べましょう。
受験する大学の学部・学科のホームページを検索すると、ほとんどの大学が具体的な研究内容を載せています。
その中で自分が興味をもてる項目をピックアップし、研究項目の将来性について討論できるように準備しておけると安心です。
「大学に入ってから、勉強したい内容が変わったらどうしよう」と思うかもしれませんが、心配いりません。
大学の先生があなたのことを覚えていて「入試の時はああ言ったのに、変わったの?」と言われても「はい、勉強しているうちにこちらのテーマにより興味がわいたので」と言えば問題ないでしょう。
2 部活について
部活に所属している人も多いと思います。
特に運動部に所属している人は、かなりの確率で部活について質問をされます。
具体例1
「あなたの部内での役割を教えてください」
回答例
「はい、私は残念ながらレギュラーになれませんでした。ですが自分も部活のために貢献したいので、相手チームのデータを集めて分析し、レギュラーのメンバーと情報を共有していました。実際にプレイはできなくても、私のデータ分析が勝利に貢献したことは何度もあります。」
具体例2
「あなたが部活から学んだ一番大切なことを教えてください」
回答例
「はい、私が野球部に所属して学んだ一番大切なことは、持続することの大切さです。体調を崩して練習に参加できないことがあったのですが、練習に復帰してもなかなか元のように動くことができなかったという経験があります。持続することは本当に大切だとその時に学びました。」
3 高校生活で一番印象に残っていること
部活に所属していないとかなりの確率で聞かれる質問です。
これも予測して回答を準備しておきましょう。
面接官をすごいと思わせるような回答は必要ありませんので、その経験から学んだことや成長できたことを話せば大丈夫です。
回答例
「私の高校生活で一番印象に残っていることは、体育祭でクラスみんなで力を合わせて勝負に挑んだことです。結果としては一位にはなれませんでしたが、何よりもクラス全員で力を合わせて一つの目指せたことが嬉しかったです」 → このような回答をした場合、あなたはどんな役割だったか、何を学んだかなどを突っ込まれる可能性が高いです。それに対する回答も用意しておきましょう。
4 オープンキャンパスに来たかどうか
大学に対する熱意を知るような質問と言えます。
オープンキャンパスに参加していると答えると「どんな印象でしたか」などの質問に発展する可能性が高いです。
「楽しそうな雰囲気でした」では不十分です。
具体的に「〇〇学科の発表を見て、研究内容に興味を持ちました」などと答えられるよう準備してください。
参加できていない場合は正直に「参加していません」と答えましょう。
その場合はパンフレットやホームページを調べて研究内容はわかっているとアピールすると良いでしょう。シラバスも参考になります。
5 最近のニュースで気になった内容
ニュースに敏感か、ニュースの内容を理解しているか、そこからどんなことを考えたかを求められる質問です。
よって、できるだけ新しいニュースのほうが良い印象を与えることができますので、面接の3日前くらいからは特に新聞やテレビのニュースに注意しておきましょう。
また、自分なりの意見を用意しておくと安心です。
指定校推薦の面接時間や形式は?
指定校推薦の面接時間は、多くの場合が10~15分程度でしょう。
そう長くはないので安心してください。
また面接の形式は大学や専門学校によって大きく異なります。
例としては
生徒1人:面接官1人
生徒1人:面接官3人
生徒3人:面接官5人
などなど、いろいろなパターンを聞いたことがあります。
「自分ひとりと面接官3人とか緊張するな…」と感じるかもしれませんが、実は生徒は1人のほうが気楽に面接を受けられます。
理由は、他の生徒と回答がかぶった場合のことを考えなくていいからです。
生徒から聞いた例なのですが、「生徒3人の面接で自分が一番最後に聞かれた。
どの質問も他の生徒と回答内容がかぶってしまい、真似をしているようでとても答えづらかった」とのことです。
ちなみにその生徒は無事に合格しましたので、その点は安心してください。
指定校推薦の面接のコツや注意点は?
すべての質問に対して共通する注意点なのですが、みなさんが一番不安なのは「回答を用意していない質問をされたら、何て答えたらいいんだろうか」ということではないでしょうか。
わからないことを知っているように答えても相手にはすぐバレてしまいますので、わからない質問をされた場合は素直に「すみません、勉強不足でわかりません。これからもっと勉強しておきます」と答えるのが一番良いでしょう。
また、どんな質問に対しても即座に答えなければいけないわけではありません。
落ち着いて考えればいい返事が思いつく場合もありますので、よく考えて答えるようにしましょう。
指定校推薦の面接で落ちることはある?
実際に公表されている指定校推薦の合格率は「99%」となっている場合があります。
これは「落ちた生徒がいる」ということですね。
では、どういった場合に落とされるのか、具体例をまじえて説明します。
具体例1 泣いてしまって話せなくなった
これは生徒から実際に聞いた話です。
その生徒はかなり緊張しやすい性格ではあるのですが、面接の最初で「うちの大学で何を学びたいですか?」という質問に対して「〇〇について学びたいです」と答えたものの、それがその大学では学べない内容でした。
面接官から「その内容はうちの大学では無理かな」と言われた生徒は「えっ…」と絶句、そのまま涙が止まらなくなり、面接でほかの質問をされても全く答えられなかったそうです。
このようなことにならないように、きちんと質問と回答案を練って面接に臨んでください。
具体例2 緊張しすぎて受け答えがおかしくなった
これは指定校推薦先の大学から断られた実例です。
その生徒は面接でかなり緊張し、「はい、そうです」としか答えなかったそうです。
「うちの大学で何を学びたいですか?」「はい、そうです」これでは合格できません。
あとで本人に聞いても「緊張してしまって何を答えたか覚えていない」とのことでした。
指定校推薦で落とされるのはかなりレアなケースであり、その理由を大学側から高校に説明してくれた例です。
具体例3 面接に遅刻した
指定校推薦の面接に遅刻したという話も聞いたことがあります。
これでは不合格になっても仕方ないですね。
一生を左右するような大切な面接ですから、決して遅刻しないようにしましょう。
指定校推薦の面接について、実際に問われた質問を交えて説明しました。
あらかじめ質問を想定できていれば、安心して面接に臨めると思います。
基本的に指定校推薦の面接は、生徒を落とすことが目的ではありませんので、対策を練っておけば合格できます。
落ち着いて面接を受けられるように、しっかり準備しておきましょう。